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協会活動
会員コラム
2011年度
本当の海外出張は冒険旅行
今からもう17年前になろうか。
製鉄会社に務めていた私は、自ら望んで身を投じた新規事業が、バブルのあおりを受けて事業統合の対象となり、新たな希望を求めて退社することになった。
米国系ソフトウェア会社に中途入社が決まり、身辺の整理を始めた矢先であった。再就職先の新しい上司から急に電話で急遽、新しいオフィスに呼び出されたのだ。待っていたのは新しい上司と、同じ時期に採用が決まったベテラン営業のT氏であった。上司は、いきなり地図を広げ、「入社にはまだ2週間ほど時間があるんだけれど、是非とも今の会社を休んで入社式と新人研修を受けて欲しい。」との申し出であった。
往く際はオハイオ州シンシナティの郊外だ。「シンシナティ?」「オハイオ州?」、当時の私は国際感覚など微塵もなく、地図を借りて米国の西海岸を地図で探し始めていた。見つかるわけもなく、上司が指し示した場所は、シカゴより少し東の内陸部でシンシナティ空港から車で40分位の位置にある。車で40分とは行っても日本とは違い、高速道路を飛ばしに飛ばすのだから、東京駅から横浜駅を楽に突き抜ける距離を運転しなければならない。タクシーでは遠すぎるし、米国では遠隔地への出張は空港からレンタカーが常識のようだ。そう言えば、これまで海外出張の経験がないわけでは無いが、タクシーや地下鉄を使うような大都会を一人で移動することはあっても、郊外のオフィスを尋ねるような仕事は経験がなかった。なんとか、航空券の手配だけは新しい会社でお願いできたが、これまたシアトルとシカゴの2箇所で乗り換えになる便だった。「確かシアトルは国際線から国内線へ乗り換えるのに地下鉄を2回も乗り継がなければならなかったよな。」不安だけが胸に去来するようになった。後で分かったことだが、同行するベテラン営業氏(そろそろTさんとでも呼ぼうか?)は、ツアー旅行しか経験がなく、英語も話さないうえに運転免許そのものを持っていなかった。本当は残っていた有給休暇を消化する魂胆であったが、とんだ冒険旅行をする羽目になった。出発は5日後、入念に訪問先やシアトル、シカゴの空港の配置を頭に入れようと悪戦苦闘している間もなく出発当日を迎えてしまった。
家内と3歳になったばかりの我が長男と別れを惜しみ、成田空港でT氏と落ち合ってから、いざ未知の世界に出発となった。
中小企業支援コンサルタント
山岸秀之