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会員コラム

2011年度

本当の海外出張は冒険旅行

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 翌日は、また研修の続きである。講師に目をつけられたのだろうか?。毎回プレゼンテーションに指名される。アドリブで自由に英語が話せるわけでもないのに、無謀な挑戦を強いられる。それでもほかのメンバーとも打解けてきて、ランチに車で外出するようにもなった。その仕上げと言うけではないが、会社側からシンシナティ・レッズ応援実習が申し渡された。お相手はシカゴ・カブスだった。

 研修が終わると新入社員は全員バスに乗り、リバーフロントスタジアムに向かった。

 既に数万人の観客がつめかけており、我々の席はホームチームを応援するはずなのに3塁側であった。されどここはオハイオ州の片田舎、応援に来ていたのは例外なくレッズファンであった。私のとなりの席にはイタリア人とフランス人が陣取ることになった。

 試合が始まると、「なぜバッターはボールを打った後、バットを投げ捨てて走るのか?」「ゲールがスタンドに入ると、なぜバッターは勝ち誇ったように、ゆっくり走るのか?」などと質問攻撃が両サイドのヨーロッパ人から飛んでくる。入念にご説明したかったのだが、英語力が追い付かない。それでなくても「ベースとはなんだ?」「アウト/セーフの基準は?」「なぜ人間がボールを投げるのか?機械が投げれば疲れないのに」など野球の根元に関わる話が多く、試合を楽しむ余裕がない。

 試合は大変な打撃戦になっていたが、周りのアメリカ人はポップコーンやホットドッグを食べるのにいそがしく、試合の成り行きを気にしているようには、とても見えない。

 ところが7回に入ると、いきなりスタンド全員が起立して、「Take me Out to the ball game」そのまま訳すと「私を野球の試合に連れてって」の大合唱が始まった。その後は、皆さんいきなり試合に釘付けだ。このギャップにはいささか驚いた。

 8回に入るとカブスが大幅にリードして、しらけだす。試合が終わる頃には我社のアメリカ人社員も酒が入ったせいか、大荒れになり、球場に残る選手達に怒鳴り散らすようになった。よく見ると、社員研修の世話役殿まで加担しており、サッサと帰るわけに行かない。結局試合が終って30分後に、ようやくバスに乗ることがてきた。

 球場のパーキング出口は大渋滞で、抜け出すのに20分近くを要した。リバーフロントスタジアムは日本の球場とは違い、公共交通がカバーしていないため、観客は自分の車で来るしかなかったのだ。この球場はもう存在しないが、今でもあの時の車の大行列をときどき思い出すことがある。

 この野球観戦が、この旅最後のハイライトだったように思える。


2011年11月17日
中小企業支援コンサルタント
山岸秀之