協会活動

会員コラム

2012年度

中小企業における人財

中小企業における人財

  戦後60数年経過した経済・産業界好景気・不景気が交流回路のように変遷してきた。 戦後の高度成長期・安定期の企業を支えてきたのは、大学卒業後に就職をして定年退職するまでの終身雇用・年功序列は独身生活・結婚・出産・教育・子供の結婚/出産・定年退職へと進むライフサイクルでの生活安定を図るには理想的なシステムであった。終身雇用・年功序列はグローバル化の影響を受けて成果主義を中心としたシステムに変わってきたのが最近の傾向であるが、少子高齢化による人口構成の変化は、若年層退職者の増加に伴う企業への定着率の低下、定年退職後の嘱託、派遣社員・パート・アルバイトの登用等による労働者構成の変化が生じてきた。その結果、人事労務管理の重要性が拡大してきたと考えられる。

 経営を活かすには、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源で「人は石垣、人は城」といわれるようにヒトの存在が最も重要である。企業内で業務に従事している人々、指揮をしている人々は人間性尊重を重視している人間関係のつながりを大切にしなければならない。中小企業の経営者は社員との交流を考えて、ノミュニケーション・社員旅行を通じて親睦を深めることも1つの方法として考えられる。

 企業における人事労務管理では、適材適所の人事管理が必要であるが、人ザイの範囲を分類すると下記の通りとなる。

人財 企業にとって必要不可欠な存在で、中小企業経営者の片腕的な立場である。
人材 部下を指導することにより、若手社員の教育訓練を出来る立場の存在である。
人在 自分の持ち場をこなすことは可能であるが、他人の仕事を手伝うことは出来ない立場の人である。
人剤 上司の指導を仰ぎながら仕事をこなして、教育を通じて成長するべき立場の人で、入社1〜2年のタイプである。
人罪 今後の成果を見込めない、企業にとってはすぐにでも退職してほしいという立場の人である。

 経営者にとって必要不可欠な存在としては人財に相当している。管理職・一般職のベテランは人材に、入社1〜2年の若手社員は今後の成長を見込んだ人剤に相当すると考えられる。人罪に相当する社員を避けるための社員教育を中心とした人事労務管理が重要な要素となる。人財育成のために中小企業経営者にとって、管理・監督者が職場内で業務を通じて、計画的・継続的に部下を指導するOJTが重要視される背景としては下記の点がある。

  • 企業として実戦で役に立つ教育訓練である。
  • 企業内教育訓練は企業経営にとって有用な人財を育成して、自己実現できる意欲を持つ人間作りが可能である。
  • 余り経費を掛けずに、一定目的を達成できると同時に、具体性・現実性が求められる。

 人事考課で考課者の陥りやすい心理的偏向としては、中央化・寛大化・ハロー効果・ 対比誤差・倫理誤差・時間誤差等があるので、あくまでも公平な判定が必要となる。販売部門で扱うある商品の売上が前年比20%UPしても、市場で40%成長していれば、評価としてダウンすべきであるが、逆にプラス評価をする企業もあるので、逆の立場の社員からの問題発生の原因にもなる。100の仕事を7時間でこなす人(A)と、残業を含めて9時間掛かる人(B)の場合で、業務内容を把握していない管理者は(A)より(B)を高評価する危険性もある。正確な判断をすることが人事考課で最も重要なことである。

 人財を育てるために新入社員の採用からスタートすることになるが、大手企業の社員削減の流れが中小企業にとって人ザイ獲得の好機ととらえて、自社の強み・良さを学生に十分アピールすることにより採用して、新入社員がストレスからの「うつ」状態に追い込まれずに、順調に成長していくことを目指すべきである。そのためには、入社後1年以内が重要であることを肝に銘じて、中小企業の経営者には頑張ってほしいと思います。

2012年06月15日
イチカワCSR研究所 所長
経営コンサルタント 市川晃朗