協会活動

会員コラム

2012年度

消費税増税の課題

中小企業の悪戦苦闘のイメージ画像

 現在の消費税率5%が2014年4月に8%、2015年10月に10%に増税される見通しとなっている。給与収入が年間500万円〜600万円の家庭では消費税以外の社会保険料UP、所得税復興税・温暖化対策税導入を含めて、2015年の負担は2012年よりも年間で25万円増になると計算されている。消費税5%から8%へのUPは単価として1.028倍、10%へのUPは1.047倍となるが、例えば、自動販売機のペットボトルは現状150円を幾らにするのか、154円ではなく160円になれば、家庭の負担増はさらに増加することになる。
 消費税がスタートした頃(3%)は、単価とは別に消費税3%を上乗せしていたが、現在は単価に消費税が含まれている方法が多くなっている。中小企業にとって消費税の増税分を販売価格にキッチリ上乗せして展開していけるのか否か、特定企業に売上高の殆どを委ねている場合は、販売価格に消費税を付加できないと、企業存続の危機に陥る死活問題となる危険性も考えられる。企業向け調査によると消費税増税により業績に悪影響があると考えている経営者は70%弱、国内消費者動向が縮小すると考えられているのは85%以上のデータがあり、その対応策を今から検討して進めていく必要が迫れられている。
このことから消費税増税に伴う業績悪化で中小企業の倒産件数が一気に増加する危険性をはらんでいる。
 中小企業のもう一つの課題としては、消費税増税前に、消費税5%で購買を一気に増やすことによる製造ラインへの影響及び増税スタート後の企業としての在庫増の管理をどうしていくかという課題があり、受注量が一気に減少する犠牲も考えられる。
 課税売上高が1千万円以下の小事業者に対する消費税を免税とする制度(2年前の売上高が基準)があるが、課税売上高5億円以上の子会社には適用されない。これも今後、見直される可能性がある。中小企業の事務負担を減少するための「簡易課税制度」も見直される可能性がある。簡易課税制度のみなし仕入れ率は、卸売業90%、小売業80%、製造業70%、サービス業50%となっている。
 消費税増税による中小企業の受ける問題点としては下記のとおり集約される。

  • (1)受注競争において、増税分を販売価格に転換できるか否か。
  • (2)増税スタート直前の旧価格での受注が一気に増えて、製造ラインに影響を与える
  •    可能性も考えられる。
  • (3)逆に購買を考慮して、消費税スタート以前に部品等の材料を大幅に発注したことか
  •    ら、在庫管理に問題が発生して、死在庫に陥る可能性もある。
  • (4)デフレ化傾向、社員の給与に明るさがなければ、社員の生活レベルが現在以上に
  •    厳しいことになる恐れがある。

 世界各国の消費税の税率は下記のとおりであるが、所得税・住民税そのほかの税金を含めた収入面との比率を考慮しないと、消費税が他国と比較して低いから安心という訳にはいかないので注意する必要がある。アメリカは消費税はなく、州単位に売上税を定めている。

デンマーク

25.0(25.0)

スウェーデン
25.0(12.0)

ノルウェー

24.0(12.0)

アイルランド
21.0(0)

イタリア

20.0(10.0)

フランス

19.6(5.5)

オランダ

19.0(6.0)

ポルトガル

19.0(5.0)

イギリス

17.5(0)

ドイツ

17.0(6.0)

スペイン

16.0(7.0)

メキシコ

15.0(0)

オーストラリア

10.0(0)

スイス

7.6(2.4)

 

 現在の円高不況を吹き飛ばして、2年後に景気が回復することで消費税増税に対しても、企業実績・生活に対して順風満帆・活溌溌地で臨んでいけることを期待したいと思います。

2012年09月24日
経営コンサルタント
市川 晃朗